top of page

Kindai Univ.

Architectural Planning Lab.

logo

Project.8

koyasan workshop 2021

高野山における“まちづくり学習”の実践 2021

koyaWS2

Action research / 2021 / KOYASAN

 

2020年度より和歌山県高野町の町立中学校においてまちづくり学習を実践している。高野町は世界遺産を有し観光地として著名である一方で,近年人口減少が続く地方小都市である。そうしたなか,高野町唯一の中学校である高野山中学校では,郷土愛の定着を目的とした「ふるさと学習」が総合的な学習の時間に取り組まれてきた。2020年度よりこの「ふるさと学習」の一環としてまちづくり学習が導入された。初年度は,一年間で学習の成果を取りまとめプレゼンテーションまでを行う提案重視型のプログラムとして実施した。それに対し,2021年度は学習過程において生徒と地域のステイクホルダーとの交流・協働という地域連携の機会を組み込むプロセス重視型のプログラムとして実施した。

2021-1.png

ふるさと学習の企画内容

2021年度の「ふるさと学習」は,筆者らが「高野町の魅力・課題を見つけてまちの未来を話し合おう」をテーマに設定し,生徒らが「歩くのが楽しいまちづくり」「住みたいと思えるまちづくり」「訪れたいと思えるまちづくり」の3つの小テーマに分かれ各々の視点から「高野山のまちをどうしていきたいか?」を議論するという内容として企画された。授業は,2020年度と同様に,ステップ1:アイディア作り(7時間),ステップ2:フィールドワーク(8時間),ステップ3:まちの未来構想+ワークショップ(16時間),ステップ4:未来構想の中間発表(6時間)の4つのステップに分けられ,計19回・37時間にわたって実施することが予定された。

スクリーンショット 2023-03-13 11.17.42.png

なお,2020年度は最終成果物の準備時間をステップ2,3のなかで確保したため,各ステップで実施する学習プログラムの内容が時間的制約を受ける結果となった。そのため,2021年度は授業時間の増加に加え,1年生の最終発表を中間発表と位置づけ発表準備の負担を減らした。さらに,教科連携により国語科の授業計3回・3時間においてステップ2,3のワークを補足することとした。それにより地域住民へのインタビュー調査や役場職員とのワークショップに取り組む十分な時間が確保された。

2021-2.png

Step1:まちのイメージマップを作ろう

筆者が高野山のまちの変遷やまちづくりの事例に関するレクチャーを行ったのち,生徒ら10名が3組に分かれまちのイメージマップ作りに取り組んだ。しかし,イメージマップの多くが学校と自宅間の漠然とした作図に留まったため,2度目のワークではGoogle Mapsを用いてイメージマップ上に不足情報を加筆し,生徒らが考える高野山の好きな場所や課題を書き込む手順を踏んだ。その上で,3度目のワークでは生徒らが「訪れたいと思えるまちづくり」「歩くのが楽しいまちづくり」「住みたいと思えるまちづくり」の3テーマに分かれ, 「高野山のまちをどうしていきたいか?」のアイディアを検討した。

2021-3.png

Step2:住民の方々のまちへの思いを聞いて回ろう

地域住民が考える「高野山の魅力や課題」「未来に望むこと」を把握するため,生徒らが約100分間× 3回にわたりフィールドワークに取り組んだ。その内容は,ステップ1の各グループのアイディアをもとに筆者が候補地を提案し,そこから生徒らが選定した15ヶ所の対象地(金剛峯寺・霊宝館・高野山観光情報センター・書店「小堀南岳堂」・土産物店「報徳堂」・田原屋履物店・和菓子屋「麩善」・女人堂・徳川家霊台・金輪塔・祓川弁天社・高野山大学図書館・ゲストハウス「kokuu」・ 高野幹部交番・森林「ゲンジの森」)において,地域住民にインタビューを実施するものである。調査に先立ち生徒らは,教員Bから国語科の授業でインタビューの実施方法について助言を受け,地域住民に自らアポイントメントをとっている。

2021-4.png

Step3:役場の方と未来計画を考えよう

生徒らがまちの未来像を描くグループワークに取り組んだ。その内容は,生徒らが前述の3テーマに分かれ,フィールドワークで収集した情報をもとに,人々が高野山を訪れたくなる・歩きたくなる・住みたくなるアイディアを検討するものである。その際,高野町役場企画課の職員らから助言を受ける2時間のワークショップを設けた。ワークショップは,事前に共有された生徒らのアイディアやまちに関する疑問に対し役場職員らが助言,回答したのち,各グループに職員1名が加わりアイディアを議論するものである。その後,生徒は高野町の行政報告会にて地域住民や町長, 役場職員に向けて提案を発表し,町長らからの助言をもとに提案内容をブラッシュアップした。

2021-5.png

Step4:未来計画を住民の方々に発表しよう

生徒らがプレゼンテーションの構成やシナリオを作成し,最終成果物をA1サイズの模造紙にまとめて学内の学習発表会で発表した。

20224

ふるさと学習の成果物

生徒は,地域住民へのインタビュー調査などを通して観光客の動向のほか,空き家対策や自然環境保護に課題意識を持ち,3チームに別れて課題解決のためのアイディアをA1の模造紙にまとめた。ステップ1では,生徒らが「歩くのが楽しいまちづくり」「住みたいと思えるまちづくり」「訪れたいと思えるまちづくり」の3つのテーマに分かれ,それぞれの目標実現に向けたアイディアを列挙し,ステップ2において地域住民へのインタビューを踏まえ,来訪者の観光目的の多様化に対応したキャンプ場のリノベーションや,まち歩きスタンプラリーの実施,空き家を活用したカフェの設置などのアイディアを検討した。さらに,ステップ3の役場職員とのワークショップを経て,宿坊への誘客支援や空き家を活用したテレワーク環境の整備などにアイディアを発展させた。

NEWS

東大先端研主催“地域共創ユースサミット” で発表

東京都立日比谷高等学校にて発表

東京大学先端研「高野山会議」で活動発表

koya2021

Presentation sheet

bottom of page